アメリカのPublic Schoolの現状

さて、今日は火曜日25日。ブログのキャッチアップは続く。

教育をテーマにした映画を観てきました

今日書きたいのは先週の木曜日に見た映画のこと。HGSEの教授の一人が制作に関与していたこともあり、特別に公開前のプレミア上映会に学生数百人が招待された映画です。

映画のタイトルは「Won't back down」。日本語の訳だと「(何があっても)屈しない」といったところでしょうか。崩壊しかけていた公立の小学校をある生徒の母親が、そこで勤務していた教師と立て直すという実話を参考にして作られたといわれる映画でした。



外国から来てて、しかも学校教師を経験していない私でも「いいお話だ」と感じた内容だったのですが、アメリカというこの国で公立の小学校の現状に向き合って、日々悩んでいた経験のある教師出身者のクラスメートの中には涙している人も多くいました。

アメリカのPrivate SchoolやPublic Schoolの中でも恵まれた環境から来た友達&留学生友達を多く持つ私からすると、アメリカの義務教育レベルのPublic Schoolの現状の描写そのものに少なからずのショックも受けました。(日本の公立のひどいところをあまり知らないという自分の無知もあります)

課題の存在に気付いた人、解決を見出そうとする人、何もしない人

この映画のWikipediaによるとこのストーリーの重要な点は2010年に認可されたThe Parent Trigger Lawの存在。これは学校の現状に不満のある保護者が最終的にその学校をチャータースクールに転換することを可能にしてしまう法律です。(参考:Huffingtonpostの記事、映画の広告動画もある)

この法律の是非は議論されていたようですが、「権力」の有無に関係なく、現状について疑問や意見がある人がそれを自由に表現する場を創る事自体はどんな組織、場でも大切だと思います。

私が少し関わっているAcumen Fundの創設者ジャクリーンがリーダーシップについてコメントしていたビデオにあったフレーズに、「What's most important thing in the world is to be interested rather than to be interesting」(John Gardner)というものがあります。

特に・・・「嫌だったら他にいけばいいじゃん」的な考えが通用しない環境に置かれている人達に残された道は何か、その人達の立場にいない人間がどうするべきか(この映画でいうと教師達の労働組合側の人間)。課題の存在に気付いても、自分とその周りだけが良ければ何もしなくていいのだろうか、モヤモヤするなら自分はその課題解決のために何をすべきだろうか?何が今の自分にできるだろうか?どんな言い訳をしてる?そういうことを問いかけられた気がする映画でした。

行動する人達の存在、それを許容する環境

また、改めて感じたのが
・こういう法律が州ベースで認められるというこの国の凄いところ。
・何かを強く信じ、突き動かされて前例をつくってしまう人間の凄いところ。

自分の置かれている環境、持っているカード()の量&内容に関係なく、ほんの少しのチャンスでもしっかりと掴み、前に進もうとする逞しさ。世界にはこういう人がたくさんいるんだと改めて思いました。

(※)こちらではトランプカードを使った比喩が日常会話によく出てきます。元々与えられた&持っているカードは運命や運によって定められたり、生まれた時から与えられていたもの。でもそれとは別に、その人特有の良さであったり、賢さであったり、努力の成果であったり、人との出会いであったり、とてもたくさんの ことで手持ちのカード以上の事を人は成し遂げることができる、そんな考え方です。この考え方はアメリカ人のなんとなく前向きでポジティブな国民性にも関係している気がしますが、一方で日本では自分の手持ちのカードを見て、良い組み合わせでないと自分には無理と諦めてしまう人が少なくない気もします。世界の他の国の人々に比べたらとってもとっても豊かなカードを持っている国民だと思うのですが・・・。)

ちなみに上記を調べている途中に「日本型チャータースクール推進センター」というHPを発見したのですが、なんと解散に至ったという悲しいお知らせがトップページにありました。。。どの国においても新しい事の導入、拡散、浸透には並大抵でないエネルギーが必要なのでしょう。

アメリカでは28日から公開