IDEOからのインスピレーション

以下につぶやいたことについて書きます。

4月17日のつぶやき
「授業開始前に慌てて読んだ5つの課題リーディングの最後の
『Brown, Tim. “Design thinking and you,” in Change by design. 
 HarperCollins, 2009.のp236-242』の内容が素晴らしすぎる。後でつぶやく・・」
 ※この後にボストンの追跡劇(自分のtweetのNAVERまとめ)などで
  まったくつぶやけてませんでしたが。

そして今日4月23日のつぶやき
「これからd.schoolの設立にも関わったIDEOのPartner, Diego Rodriguez氏の
 話を聞いてきます。ボストンは雨で手袋を持ってこなかった事が悔やまれる寒さ。」
「さりげなく聴衆側にボストンオフィスのColin Raneyがいる!笑」
 ※このイベントはたまたまクラスメートがFacebookでクラスメートに二日前に
  共有してくれたことがきっかけで知りました。
  折しもこの日に予定が入っていたディナーの方がご都合が悪くなった、
  と連絡いただいたタイミングとほぼ同時だったので、すぐにイベントへの
  参加申し込みをしました

■参加前あれこれ■
IDEOについては以前HBSとデザインスクールのコラボで行われていたxDesign
カンファレンス参加の後にちょこっとコメントしていましたが(関連エントリー)、
liveで話を聞くのはこれが二度目です。
IDEOの仕事は主にB to Bなので私の友達にはまだ存在を知らない人もいますが
私は最初に同社を知ったのがいつできっかけが何だったかもあまり覚えていない程
昔から憧れている会社の一つです。(もう一つはワークプレイスデザイン会社の
Gensler社)上記のColin RaneyはxDesignでのスピーカーでしたが、
実は彼は今学期HGSEの授業の一つにゲストスピーカーとして来ていたという
事実もあったりします。(担当教授は元Scratchチームでこのブログにも
何度も出ているKaren Brennan、授業名はDesigning for Learning by Creating
私は未履修、Course Shoppingの時のエントリーはこちら

秋学期のGroup Learningの授業の一環で取り組んだ「宝探し」のゴール地点が
IDEOのボストンオフィスだったり(関連エントリー)、と色々ご縁があった同社。
その同社のパートナーで、かつあのd.school(スタンフォード内)の設立に
関わった人、ということでワクワクしながらインターン後に駆けつけました。

■参加前ちょっと下調べ■
事前にDeigo Rodriguez氏について下調べした内容:
・IDEOのPalo Altoオフィス(California)のリーダー
・得意分野?は戦略イノベーション(ソフト+商品開発、マーケ)
・IDEOにおいて「Business Design」という分野の立ち上げに関わる
・彼のブログmetacooは有名
・IDEOの前はHPで研究開発エンジニア、Intuitという組織でマーケター
・学部はスタンフォードでengineeringとhumanities(社会科学)をhonorsで卒業
 HBS卒業生
・MIT Media Labにも関わりがある
・dSchoolではcreating Infectious Actionという授業を教えていた(06〜)
 ※その後「少しつまらない内容になった」から4年で終了した、と発言していた
・彼のブログのトップページの右側には20のPRINCIPLES FOR INNOVATINGがあり
 私が特に好きだったのが⑥のLive life at the intersection
 ⑰のIt's not the years, it's the mileageの二つ(もちろん他も素敵なメッセージ)
 ②のSee and hear with the mind of a childも好き。
上記が15分で手に入る今の時代。インターネットは本当便利です。

■Diego Rodriguez氏の印象■
有名な人と会う機会がある時、私は以下の3つを見ながらその人となりの
イメージを掴もうと意識してます。
 ①ネット上でのその人のイメージ(ツイッター、ブログ、記事、本など)
 ②スピーカーとしてのその人から伝わってくるイメージ
 ③名刺交換などで1対1で会話をした際に伝わってくるイメージ

多くの人とは①しか接点がないので、そこで終わってしまうけれども
足を運んでみると②の機会が得られることがあります。東京やボストン
という恵まれた都市に拠点を置いて活動することのメリットの一つです。

そして、①と②では伝わってこない③で驚かされることもあることに
1年前くらいから気づきはじめたのでそれ以降機会があれば必ず③を
しようと心がけています。
(もちろんしっかりと話す内容を決めておかないと③でもただの迷惑な人に
 なっちゃうので、③を有意義なものにするようと訓練中ですが)

今回は①がほとんどないまま②と③の機会が得られる非常に稀なラッキーな
機会となりました。集った学生も20人?もいなかったような、とても密度
濃い場でイベント終了後もすぐに会話することができました。

そのRodriguez氏に対する印象
・思った以上に若かった
・ブラック?ジョークを多用
以下はここまでestablishedなビジネスマンによく見られることですが:
・無駄なことを話さない、的確・端的
・間の使い方が上手い=会話のテンポが良い
・聞き手が自分に当てはめて考えられるような例えやエピソードを
 使うのが上手い
・印象に残るキーワードを程よいタイミングでポンと出してくる
 例:informative intuition, accretive, street credibility, 
         Teresa AmabileのProgressive principle(HBR記事
   ※以前ここにも書いたLILAの'Learn at Work'で名前は聞いたことが
    あった方
        「 explore-express-test」のサイクル

さらっと話しているからそのときは「ふむふむそうだよね」という感じで
頭の中をするっと流れて行くのだけれども、終了後2時間ほどして
ノートを見返してみるとどれだけ密度の濃い内容を話していたか、
どのように構造化されていてクリアにポイントをついていたか、
ということが分かり、なんだかイベント終了後復習時にじわじわと
くる・・・不思議なパワーを放つ方でした。

1vs1の時はEducationの分野で有名な同社のSandy Speicherさん
ついてと「複数分野の橋渡しができる能力」と「ある特定分野を
極めること」のバランスについてを質問。
とても真摯に応えてくれたRodriguez氏のメッセージ、勇気づけられた一方で
最近考える事が多いこの二つの能力のバランスの点を改めて
考えさせられました。実はこれは石倉洋子先生も著書でおっしゃていること。
やはり何か専門分野をもたなくてはいけない、と。

私はこのブログのタイトルに4つのキーワードを並べているけれども
自分はデザイナーとしての実績はないし、MBAも取ってないしビジネスは
たった7年ちょこっと表面的に外部者としてかじっただけ。
テクノロジーはましてやほとんど実績ないし。とすると残るのは
Education。教育学部留学前は「教育」についてほとんど何も知らなかった
自分がRodriguez氏が期待する「world class」のエキスパートになるには
どうしたらいいのだろう。それでも今の自分には「教育」または「学び」しか
今はないから、とりあえずそれを愚直に積み重ねていくしかない・・、
頑張ろう。そう思わされたひとときでした。

■Diego Rodriguez氏とモデレーターとの対話からの印象的なこと■
以下は備忘メモ
・crowdsourcing of ideasという働き方の同社
・緩やかに形成されているプロジェクトチーム
・同社内に存在するdesign disciplineは今は30−40、増加基調、複雑性も増している
・三つの輪っか
 「desirability」(いわゆるhuman centered designの世界)
 「feasibility」(物理学の世界、実現可能性)
 元々上記二つがIDEOの出発点
 「viability」($、別の意味での実現可能性)
・この3つそれぞれエキスパートがいれば良いという昔の世の中一般的な考え
 そうではなく3つを同時に、改善プロセスを通しながら
 いったりきたりすることが求められている
・全員がデザイナー、チームはmultidisciplinary
informative intuitionという考え方を重視する
 humility(謙遜する気持ち)を持ちつつも
 自分の直感にある程度自信を持ち、それをもとにプロトタイプをつくる
 完全にまっさらな状態のbeginner mindはちょっと違う
 IDEOの人は読書家で旅行家で基本的に好奇心旺盛
 そういう人はパターン認識力に優れていて、informative intuitionを
 持っている可能性が高い
・プロトタイプの種類や創り方はその業界、商品・サービス特性に
 よって千差万別
・hierarchyはあるけどhierarchicalではない企業文化
・各プロジェクトは最初が楽しくて、最後はもっと楽しくて
 その過程がとってもとっても大変なもの
プロの「デザイナー」として必要な要素2つ
 ①how good of a designer are you(最終生成物、中身)
 ②being a superhero with the people you work with
 具体像として
 「アメリカの中西部にいるようなとてもいい人」と
 「イギリス人のような紳士さ、フォーマルさを持つ人」と
 「日本人のようなsense of proprietary、や他人を不必要に驚かせない人」を
 足して割った人、という発言がありました
 肝心のこのsense of proprietaryってどういうことなんだろう、と
 自分はちょっと分からず、それが残念です。。これを見ると「誇り」みたいな
 ものでしょうか
・HPの産みの親のDave PackardのエピソードをIDEOのDavid Kelleyの
 エピソードと比較しながら設立当初のHPとIDEOがどれだけ似ているか、
 を強調していました
(以下紹介されていたHPのDave Packardが掲げていたビジョン
 1. Think first of the other fellow.
 2. Build up the other person's sense of importance.
 3. Respect the other man's personality rights.
 4. Give sincere appreciation.
 5. Eliminate the negative.
 6. Avoid openly trying to reform people.
 7. Try to understand the other person.
 8. Check first impressions.
 9. Take care with the little details.
 10. Develop genuine interest in people.
 11. Keep it up.


■冒頭に書いたTim Brown(現IDEO CEO)の書いた内容より■
せっかくなのでこのつながりで授業で読む機会があった以下からの学びも。
『Brown, Tim. “Design thinking and you,” in Change by design. 
 HarperCollins, 2009.のp236-242』
・don't ask what? ask why?
 ※spend energy on the right prob/coming up with the right answer to the
      wrong questionほどエネルギーの無駄になるものはない
・open your eyes
 ※'observe the ordinary' (p237)
・make it visual
 ※'being visual allows us to look at a problem differently than if we rely only
      on words or numbers' (p238)
・build on the ideas of others
 ※’corporations need a culture of competing ideas'(p.239)
・demand options
 ※'don't settle for the first good idea'(p.239)
・balance your portfolio
・design a life
 ※'there is a big difference between planning a life, drifting through life, and
      designing a life'
 ※'think of life as a prototype'(p.241)
・彼の尊敬する歴史上のデザイナー達、彼らに共通していたこと、それは:
「optimism, openness to experimentation, a love of storytelling, a need to
   collaborate, and an instinct to think with their hands- to build, to prototype, 
   and to communicate complex ideas with masterful simplicity. 」(p.242)
「they did not just do design, they lived design」
「bridge the chasm between thinking and doing because they were passionately
   committed to the goal of a better life and a better world around them(p242)


本当素敵すぎて、夕飯も忘れてまとめました。
Tim Brownといえば、このTed Talkがお気に入りです。
「Tales of Creativity and Play」



さて、明日の「Designing and Producing Media for Learning」の事前課題
読み込みをこれからしなければ・・・
明日はインターン先のCenter on the Developing Childが年一回開催する
Frontiers of Innovationというカンファレンスのお手伝いなので6時起きです。
月曜も今日もインターンしかしてなくて、なんだか大学院に通っているのか
なんなのか良く分からなくなっています(一つは単位取得用インターン、
Frontiers of Innovationは1ヶ月限定インターン)