なんか久しぶりにブログ書くのを続けていたら止まらない、笑。NPOという形態の組織にどっぷり浸かり始めて一ヶ月ちょうど経つこのタイミングで書いてみたかったこと。「ソーシャル・ビジネス、NPO」で働くということについて。
関わってくるのは前々回に書いた「女性と起業家精神と」に引用した以下のメッセージ:
社会で問題意識を持っている人は多いけれどアクションを取る人は相対的に少ない、この種の課題。アクションを取っている人達も、あまりにも複雑な課題を目の前にどこのレバーを引っ張れば現状が良くなるのかも分からないがゆえ、それぞれが「これが原因だ!」「これが解決策だ!」と動くので、まとまった動きにはなかなかなりにくい。
結果、多くの場合そのような課題解決に向かおうとしている人やお金といった貴重なリソースはバラバラになりやすい。同じ問題意識や「あるべき社会の姿」を共有しているはずの仲間同士で資金と人材のひっぱりだこに。
だから「ソーシャル・ビジネス、NPO」っていう組織は大体lean。人はいつも相対的に不足しているし、やることは常に皆のキャパシティ以上無限に存在する。
でも違った。
実は①と同じくらい②スキルが重要だし、③自分のネットワークを広げる力も大切。
関わってくるのは前々回に書いた「女性と起業家精神と」に引用した以下のメッセージ:
「Having great cause/passion and product is not enough. You need skills. You also need to be building contact (putting yourself out there/you are your own PR person) and you need luck」- Ms. Black日本語版:なんらかの課題の解決の為に必要なのは①(解決につながる)モノ・サービス、目的意識や熱い想い、に加えて②スキル(これは私の解釈だとoperationalなスキルや知識にとどまらず、ソフトスキルも含む)、③自分のネットワークを広げる力、そして④運。
自分にとっての「ソーシャル・ビジネス、NPO」
自分の今まで働いてきたことのある組織のうち、私は以下は全てタイトルに書いた「ソーシャル・ビジネス、NPO」に含まれるとやや広めに解釈をしてこの記事を書いている。- グロービス(以下G):ミッション「ヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会に創造と変革を行う」
- 教育系テクノロジーのスタートアップQuipper(以下Q):ミッション「ヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会に創造と変革を行う」
- 貧困解決をミッションに掲げるAcumen(以下A):ミッション「Changing the way the world tackles poverty」
- ステークホルダーが多く存在する、しばらく放置されてきていた/効果的な解決策が見出されていたかった社会の課題に対して向き合っている
- ゼロから解決策を創ってみたり、既存の解決策に新たな工夫を加えることで現状を少しづつ変えようとしている(変えられると信じている組織達)
社会で問題意識を持っている人は多いけれどアクションを取る人は相対的に少ない、この種の課題。アクションを取っている人達も、あまりにも複雑な課題を目の前にどこのレバーを引っ張れば現状が良くなるのかも分からないがゆえ、それぞれが「これが原因だ!」「これが解決策だ!」と動くので、まとまった動きにはなかなかなりにくい。
結果、多くの場合そのような課題解決に向かおうとしている人やお金といった貴重なリソースはバラバラになりやすい。同じ問題意識や「あるべき社会の姿」を共有しているはずの仲間同士で資金と人材のひっぱりだこに。
だから「ソーシャル・ビジネス、NPO」っていう組織は大体lean。人はいつも相対的に不足しているし、やることは常に皆のキャパシティ以上無限に存在する。
関わるようになって見えて来た、前は誤解していたこと
で、冒頭の①〜④に戻って・・自分が大企業時代に誤解していたと最近気付いたこと。それは「ソーシャル・ビジネス、NPO」で働く人には何よりも①が大切なのだと信じて疑っていなかった点。でも違った。
実は①と同じくらい②スキルが重要だし、③自分のネットワークを広げる力も大切。
②も③もなくて①だけの人は正直適していない。もっと違う形で社会貢献する道はたくさんあると思う。ほんとに。
そもそも資金も人材も常に不足気味な集団であるにも関わらず「ソーシャル・ビジネス、NPO」達が成し遂げようとしていることはスケールが大きい。必然的に一人一人常にStretchして価値発揮することが求められる。
そもそも資金も人材も常に不足気味な集団であるにも関わらず「ソーシャル・ビジネス、NPO」達が成し遂げようとしていることはスケールが大きい。必然的に一人一人常にStretchして価値発揮することが求められる。
しかも大体長期に渡って歯車を押し続けないと結果につながらないから、組織の構成人員一人一人のマラソンを走り続ける「体力」が必要。
しかもどんな道を走ることになるかも全く見えないから凸凹の道でも迷路のような道でも黙々と環境に順応させながら走り続ける「柔軟性」が必要。
プロジェクトによっては一人で道を選んで一人で前にいかなくてはいけないところもある(迷路の先に仲間がいたとしても)そういうのを楽しめる「度胸」「ポジティブ精神」みたいのも必要。
全然違う世界
*「全然違う世界」とは書きましたが、黒か白かという形でなく、今後「組織としてはxxだけれど、その中の個人としての自分は『ソーシャル・ビジネス、NPO』的な生き方をする」という人もどんどん増えていくのだろう、とも思います。
社員として働きはじめて(1ヶ月前に書いたエントリー)
白でもなく黒でもなく(3年半後に書いたエントリー)
キャリアをデザインする際の3つのアプローチ
そして、メンバー一人一人がそれぞれの能力を開発し続けないと組織全体の成長も止まるし、するとその組織の存在意義ですら問われてしまうから入社時に持って来る②スキルのみならず、スタート後の「自ら学び続ける力やマインドセット」も重要になる。
その「自ら学びをつかみ取る力」に似ているスキルが③。組織の「枠」に一人で飛び出て組織のためのリソース(金銭面、人的資源面、事業機会、など)をつかみ取って持って帰ってくる力。「リソース」を持っている外部の相手に対して組織の「顔」として向き合い、相手を「くどき落とし」「動かす」ことができなくてはいけない。
例えば資金提供者に対しては彼らが求めている細かさでの財務的論理を組み立てて伝えなくてはいけないし、ボランティアに対しては彼らのモチベ-ションや能力を最大限に継続的に引き出すことができるようなメッセージ・リソースを仕組み化して提供することに頭も使わなくてはいけない。
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・・・・・・・・ざっとこんな理由で①と同じかそれ以上に②と③が重要だったりするんだ、そんなことを最近良く感じることが多い。
こういった記事もメッセージは似ている。
・非営利団体で働く前に知っておくべきこと(2014年4月)
▷「心が優しい人向けの仕事ではない」「カオスな状況の中で「なんとかする」ことも要求されます」「恒常的な人員不足に加え、非営利の仕事はめまぐるしく変化します。つまり、新しいことを学ぶチャンスに恵まれ続けるということです」
・「社会貢献がしたい!」だけではNG! NPOで働くというキャリア(2013
年6月)
▷「『事業を行い、収益を上げ、また次の事業に投資する』というサイクルは企業と変わりがない」「一人のスタッフがいろいろな役割をこなすことが求められる」
「非営利」団体とあっても、そうでない組織形態で社会の課題解決に取り組んでいる組織にも多くのことが当てはまると思う。
全然違う世界
そんな↑な感じの世界に今はどっぷり浸かりつつも、以前自分がいた「所属企業名や個人名は外でむやみに出さないでください」と所属社員に言わせるようなルールが敷かれている世界の事(自分のネットワークを広げる、とはある意味真逆)をたまに思い出したり、触れる機会があったりする。
今となっては両方を知っているからこそ、両方に友人がいるからこそ、本当に全く違う世界で面白いな、と感じると同時にその違いの大きさに衝撃を受ける時も。
日本でLinekdInの浸透があそこまで低いという事実一つとっても、労働市場の流動性が低いといった理由や、そもそも海外のスタンダードの履歴書が日本独特の履歴書とフォーマットが違うといった理由以外に、「自分という個人をどう外にプレゼンテーションするか」という「ソーシャル・ビジネス、NPO」側の世界では必要不可欠なスタンスを特に求められない組織風土/業務内容といった環境の影響もあるのかなと感じたり。
また、先日ちきりんさんが書かれていた「競合という概念の消失(企業も個人も)」もここ1年くらい特に自分の中で大きなシフトが起きたトピックの一つ。3C(企業、顧客、競合)という考え方が定石となっている世界にいる人達と、競合という考え方がほぼ存在しない世界にいる人達と、そこのギャップ。
上に引用した記事の一つに
「非営利セクターで働いていると、5000人の群衆に5つのパンと2匹の魚を与えても、付け焼き刃にすぎないことがわかるでしょう。その結果、非営利団体同士はコミュニケーションを取り合い、それぞれのサービスを組み合わせ、クライアントのためのベストなネットワークを構築しようとします」
とありましたが、本当そうなのです。コラボレーションがnice to haveでなく、must have的な世界。そういえばこんなブログも話題になっていましたね「NPOには競合がいない!?」。
人材もシェアというか、組織の「枠」にこだわらない。複数掛け持ちして働く人もいたり、フルタイムがある人がプロボノで色々活動してくれたり、あるプロジェクトだけに飛び入り参加したり、数ヶ月だけインターンやバイトという形で雇ったり。そうやってリソースの「形」にこだわらず、巻き込めるものを巻き込める時に最大限活用するという動き方もユニークな世界です。
人材もシェアというか、組織の「枠」にこだわらない。複数掛け持ちして働く人もいたり、フルタイムがある人がプロボノで色々活動してくれたり、あるプロジェクトだけに飛び入り参加したり、数ヶ月だけインターンやバイトという形で雇ったり。そうやってリソースの「形」にこだわらず、巻き込めるものを巻き込める時に最大限活用するという動き方もユニークな世界です。
アキュメンでもインパクト投資のアプローチをするときに、企業はもちろん見ますが、その投資先に投資することでセクター全体の成長、いかに同業他社をたくさん生み出すか、いかに魅力的なセクターになって政府からの資金提供やコラボレーション要請がくるか、そういうことを意識して投資しています。
ゴールドマンで「デジカメ一眼レフ」の市場動向/サプライチェーンの動きを意識しながら「買い」の株がどれで「売り」の株がどれかを考え投資家さんと会話していた時とはかなり違うマインドセット。
環境が変わると見えてくるものが本当変わる。それが面白い。
また1年くらい働き続けたらまた見えてくるものが違うのかな。楽しみです。白でもなく黒でもなく(3年半後に書いたエントリー)
キャリアをデザインする際の3つのアプローチ