「LINE」の成長を見ながら思う事

先月期末プロジェクトの合間の息抜きとしてようやくアメリカの携帯にLINEをインストールした。

このアプリに限らずだけれども様々なソーシャルコミュニケーションツールの拡大と前期の「教育とIT」の授業で聞いたことを踏まえ色々と思ったことをちょっとまとめてみようと思う。

LINEを初めて使い始めたのは1年?前@東京

日本にいる間iphoneユーザーだった時はMessenger SMSを中心に、会話相手の友達に合わせて
viber, whatsapp, LINEなどを使ってた。

確かLINEのことを初めて知ったのは2月の日経だった気がする。LINEはviberやwhatsappに比べてemotion iconが充実していてボタン一つで色々な感情を(やや大げさに)相手に伝えることができて面白いし便利だと思った。

iphoneのデフォルト絵文字に飽きがきていた自分にはiconのレパートリーの多さも魅力的だった。(もともとガールズトークには絵文字が不可欠、LINEの絵文字はメンズ相手にも使えるものが多く、ガラケー時代のデコ絵文字とは異なる使い方もできるようになった点も◎)

留学してから携帯でのLINEは使わなくなった

それでも渡米して、携帯がiphoneよりも使いやすさが微妙なスマホに なったこともあり、そもそもあまり携帯でメッセージを送ることがなくなった。wifi環境でipadやPCを使う時間が長い学生生活においてスキマ時間にやることは多く、LINEを使っている友達も現地にいなかったので、LINEはデスクトップ上で、日本にいる数人のユーザーと会話するためにのみ使うようになった。その会話相手とはfacebook messengerやメールでも会話はできるし、時差にめげずコミュニケーションするときは何かしら伝えたい事があるときなのでemotion iconだけじゃあまり満たされなくなったというのもある。

東京だと特に携帯メッセージを多用する?

そもそも前から思っていたことだけれどもアメリカにいるときより東京にいるときのほうが
圧倒的に携帯メッセージを送ることが多くなる。

逆にアメリカでは携帯メッセージは物理的に遠い友達とは送り合うけれども東京にいるときのように数時間前に会ったばかりの友達と送り合うようなことはあまりしない。。これはなぜだろう。

東京ではあちこち動き回ることが多く(=移動時間でスキマ時間が発生する)その一方で携帯での会話に遠慮がちになる場所(電車、バス、カフェ、など)が多いからかもしれない。でもはっきりとした理由はよく分からない。なんとなく直接的な会話よりも間接的なメッセージのやりとりが多くなる雰囲気を感じる。

そんなこんなで自分は携帯でLINEを使わなくなったけれどもネット上の記事とかを見ていてLINEが今日本で爆発的にユーザー数を延ばしているのを「日本発のアプリ頑張っているんだなぁ」くらいの気持ちで見ていた。海外でもユーザー数を伸ばしているのもすごいなーと思っていた。元旦の「LINE」で世界一へ、というBLOGOSの記事も強気で勢いを感じる。

こっちの携帯メッセージ(texting)事情

一方大学院のクラスメートの間ではLINEを使っている人はいないけどviberwhatsappwechatを使っている人は結構いる。facebookのDMを使う人もいればskypeもオプションとして存在する。動画つきで会話したい場合は大体skypeかfacetimeをipad上で使ってる。

正直これらのツールは無料で接続の安定性さえあればどれでもあんまり変わらない。つながりたい相手が何を使っているか次第なところもある。

せっかくだし、と思い自分がアプリをダウンロードしたのをきっかけにLA育ちの友達と、NY育ちの友達、韓国人だけど中学の時からアメリカで生活している友達にLINEを紹介してみた。
  • LAの子は初めて見る絵文字に大ウケしてた。(でもダウンロードはせず)
  • NYの子はLINEをダウンロードした。(でも会話は今まで二回のみ)
  • 韓国の子は既にカカオトークを使っていた。彼女にはカカオトークについて色々教えてもらったけどとてもLINEと似ていて既に彼女の韓国人の友達がカカオトークのユーザーであることからLINEを使うことはないのだろうな、と感じた。むしろ彼女にはLINEじゃなくてカカオトークを使おうよ、と宣伝された。(日本でもカカオトークのCMが始まったらしいー関連記事
三人にしか聞いていないのでサンプル数としては全く不十分だけれども今後アメリカでLINEが今どのように拡大していくのか興味がわいて来た。

中国人の友達も前から使っている別のアプリがあるようだし、とにかく色々な人が色々なツールをその人のライフスタイルや友達ミックスに合わせ使っているアメリカ。その国でナンバーワンになるということはどういうことなのだろう、そんなことを思ったりした。

携帯textingが人の発達に与える影響?

でも自分が今一番気になるのは世界でどれだけLINEが普及するかどうかではなく、ここまで既にユーザー数を伸ばしたこのアプリ(&類似のカカオトークのようなアプリ)が我々人間の発達に中長期的に与える影響は何だろうかという点。

別に若い人に限った話ではないけれども特に子ども達〜思春期の子ども達に対して与えうる影響については特に気になったりもする。

秋学期の「教育とIT」の授業で「携帯電話が当たり前の世界で育っている今の子ども達にtext messagingが与え得る影響は?」が論点として取り上げられた。文法を含む言語能力の発達に対して与え得る影響があるという話に加え他者との関係構築能力に対して与え得る影響も無視できない、という話が紹介された。(ちなみにtextingが学びの機会を増やしたり、学びそのものをより主体的なものにするというポジティブ要素も多いので使いようによっては魅力的なツールであることは間違いない)

その授業では言葉をつかったtextingを前提に議論が進められていたけれどもLINEのように絵文字を主体に会話をすることを可能にするアプリが将来の子ども達に与える影響はなんだろう、とふと考えた。

気軽に事前に用意された絵文字の中から自分の気持ちに近いものを選択し送信する、そういう行動が従来の「自分の気持ちを言葉に表し、自分なりに文章を構成し相手に伝えるというコミュニケーションのあり方」(極端に言えば手紙を書くこと)よりも「当たり前」として大人になっていく子ども達はどういう大人になるのだろう、そんなことを考えたりもした。

その授業で紹介されたTED Videoの一つもソーシャルネットワークが今の子ども達に与え得る影響について話している内容。大人への影響やメール文化についても触れているので色々と考えさせられる内容のものだった。社会心理学者のSherry Turkleによる「Connected, but alone?」



最後に・・・ちょうどこのブログを書いているタイミングで我楽多塾の塾長をしているまなごさんがFacebookに「直接(人と)会う」ことの大切さをアップしていた。

本当そうだなーと自分も最近しみじみと思う。

留学していてもネットを通じて東京にいる友達がとても身近に感じる一方で、やはり直接会って1−2時間食事を共にするのとは確実に何かが違うとも感じている。

色々なアプリが溢れコミュニケーションが容易になる一方でやはりツールで全てを代替することは不可能で、ツールで補えない部分こそが今後より一層重要になるのは間違いない。

そんなことを書いている自分もツールに振り回されがちでConnection addictになっていることが多いのが昨年の反省点。たまには全てのツールから距離を置き、face to faceの時間に集中して過ごす時間を今年はより一層大切にしたい、と思います。