デザイナーとしてのiterative process


Designing and Producing Media for Learningのクラスが面白い。

もともと秋学期の早い段階からJoeのファンだった私ですが
冬学期の彼のクラスを取ってみて「もっと彼のクラスを取ってみたい!」と
思いCourse Shopping時も迷いなく彼のクラス説明会に行きました。

その結果MITのResnick教授の愛弟子Karen(春学期からハーバードで教えてる)
の授業を泣く泣く断念し、このJoeのクラスを選んだわけですが、
自分の好きなこと、やりたいことがギュッと毎回凝縮されているクラスで、
取って良かったな、と最近しみじみと感じています。

授業自体は毎週水曜日の三時間。
加えて事前の読書課題は他のクラスより全然少なく毎週2-3時間、
自分の個別プロジェクトに3-4時間を費やしているクラス。
(おそらく5月の締め切り間近には毎日数時間以上は費やすことになる予感)

冬学期のJoeのクラスは
・80人ほどの学生が履修仲間で
・半円形の席が設置された講堂で着席し
    によるインプットやjoeによるファシリテーションがクラスの中心で
・授業の枠組みの外では五人組でマルチメディア教材のアイディアをだし、
    具体化し、企画デザイン書をまとめ、ユーザーテストをし、
    ブラッシュアップをし、業界専門家にプレゼンをする、という内容
でした。

それに比べて今学期のクラスは
・15人のクラス(法学部生が一人、コンピュータ関連を学んでる学部生が一人、
   Arts in Education学科生が三人、他いろいろ、TIE学科の仲間が七人前後)
・大きな机をぐるりと皆で囲んだ小教室で
・皆で事前課題に関するフリーディスカッションをしたり、
    Joeによるインプットがあったり、
    外部の専門家の話を聞く機会があったり、
    ローテーションで学生が各週「既存のメディア&デザインに関する考察」
    をプレゼンテーションする設計になってたり、
    「学習教材としてのメディア」の役割に対する対立す意見を主張する
     論文を読んだ上でクラスでその著者になったことを想定してディベートしたり、
    良い意味で「非常に細かい」joeならではの、一分たりとも無駄にしない
    密度の濃ーい内容となっています
・教育学部HGSEのクラスとしては珍しく、個人プロジェクトがあるのが
    特徴的なこのクラス。このプロジェクトの制作過程にもみっちりと
    学習ポイントがちりばめていて、実社会でセサミストリートなどの
    教育メディアの制作に携わっていたJoeならではの擬似体験の場が
    提供されます。

①まずはコンセプトづくり。
もともと履修を希望する段階で彼に数行の意思表示をします
「誰のための、何のための、どういう媒体をつかった教材を
   デザインしたいのか」
おぼろげながら一度自分の中でこのクラスを受講することで
成し遂げたいことに意識を向けることから始まります。

②その次はコンセプトの初期コミュニケーション
教材メディアデザインについて少しだけクラスで学び、そのタイミングで
自分のプロジェクトコンセプトをクラスに共有する機会が与えられます。
持ち時間は12分。5分弱話した後ひたすら質疑応答です。
あくまでもアイディアを広げるためにクラスの仲間からアドバイスを
もらうこのフェーズ。Joeはここでは関与しません。
実際に人に自分のアイディアを説明することで、足りていないところ、
変えたいところが見えてきます。

③その次、2ページほどの簡単な企画書の作成
②の一週間後の2月20日にjoeに企画書をワードで提出します。
何をするか、どうするかはもちろん、何故やりたいか、
その制作物が何故今必要とされているか、既存のツールでは
だめなのか、をまとめる必要があります
だいたいこの時点でWHYとTO WHOMが揺るぎのないものに
なっていきます。WHATもほぼ確定。HOWはまだ抽象的な段階。

④Joeと30分の個別面談
③に対するフィードバックだったり、追加の質問やアドバイスを
もらいます。joeは褒めるのも決して忘れない素敵な教授なのですが
フィードバックが非常に建設的であることが有名です。
必ず聞いたあとに具体的な行動につながるようなヒントをくれます。
春学期三ヶ月弱の期間で実現可能な内容か、目的と手段に一貫性があるか、
他に参考にすべきリソースのありかなどを的確にアドバイスしてくれます。
ここでWHAT(プロジェクトの最終的なカタチ)がおぼろげながら
見えてきます。

⑤プロトタイプの作成とクラスメイトへの共有
④の面談後の二週間の間私たちは授業とは別に個別に
自分達にプロジェクトのプロトタイプ作成に取りかかります
ドキュメンタリービデオの人、アニメーションの人、携帯アプリの人、
子供向け電子書籍の人、ハウツー系のオンラインショートビデオの人、
Webサイトの人。ほとんどテクノロジースキルのない学生ばかりなので
(一部を除く)プロトタイプを作るために必要なAdobe Final Cut ProやAdobe
EdgeやHTML5やJava Script(これが一番大変そうでした)やAdobe Illustratorなどを
Lynda.comで学びながらになります。
色々なツールに手を出してみて、ようやくWHATが固まります。

プロトタイプの内容も完成度もそれぞれバラバラで行われる共有会。
唯一同じなのは15分という時間が与えられていることと、共有後に
皆からたくさんフィードバックやアドバイスをもらうという点だけ。
Joeも最後に2-3点コメントをしてくれます。

次から次へとくる皆の意見を聞きながらメモを取るのは大変なので、
ランダムに事前にアサインされたクラスメイトの一人が
発表者の代わりにクラスでの発言をメモしてメールで送ってくれる仕組みです。

その共有会が昨夜でした。

今日から一週間ほどの春休みなのですが、飛行機の移動中に
クラスメイトからのフィードバックファイルを開けて読みながら、
自分のプロジェクト、どう変えていこうかな、と
アイディアスケッチしながらイメージを膨らませつつ離陸・・・・

私のプロジェクトは
「レッジョエミリア、モンティソーリ、ワードロフ(シュタイナー)教育
   を比較したWebサイト」を作成し、HGSE生に届けること


自分としては比較的満足するレベルのプロトタイプを作り上げることができ、
昨日の発表に臨んだと思っていたのですが、仲間からのフィードバックを
思い浮かべながらノートにスケッチし、新しく見えてきたversion 2は既に
昨夜のものとは似ても似つかぬデザイン仕様になっていました。
でもそれを考えて創っていくのがすごく楽しい。

心を込めてデザインしたものを一度はunlearn(バラバラに解体)しなくては
いけなくなったとしても、よりバージョンアップされた仕掛品になることが
分かっているのでとてもワクワクしながら取り組めます。

今後数週間の間、ビジュアルデザインはもちろん、
きちんとコンテンツ内容のリサーチをして、専門家や経験者にもヒアリングして、
Webサイトのユーザービリティもtestingして、・・・
(Formative evaluationといいます。出来上がってから製作物の評価するために
行うSummative evaluationとは一線を画するFormative evaluation。新しいものを
創り出す時、ユーザー視点でものづくりを行う時、非常に重要な行程です。)
5月13日の提出期限までにやることはいっぱいあります。
その間にAdobe Museを学び、IllustratorとPhotoshopの記憶をリフレッシュし、
ドットインストールでCSSの基礎を押さえるのがスキル面での目標です。
(今回は時間不足ということもありWebサイトをつくるのにAdobe Dreamweaver
 諦め wix.comを使いました。でも昨夜Adobe Museを薦められたので、そちらに
 シフト予定です)

結局使わないと思うのですが
このサイトはオススメです。
自分のonline portfolioはここで
つくろうかと思っています

次のバージョンを仲間の皆に見せるのが楽しみでもあり、
ちゃんといいもの創らないとな、と心地よい緊張感を抱きつつ
モチベーションが高まっていくのを感じています。

iterative design processを繰り返すことで
ユーザーに求められている
(デザイナーとして目指しているもの)に
近づいていく