Visual Designerじゃないけど、そういうイベントに行ってみた

ニューヨークに引っ越してから1週間目。
初めて?インプット活動のために行動してみました。
行く事にしたイベントはtdc (The Type Directors Clubという
設立から65年ほどが経っている団体)が主催した"After the Jump"

このtdcという団体は
"Leading international organization whose purpose
 is to support excellence in typography, both in print and on
 screen"とあるようにタイポグラフィーの世界では有名な団体のようです。

会場には数十人〜100人弱。
おそらく大半がデザイナー、一部デベロッパー、そんな場に
どちらでもない暇人の私が興味本位で参加してみた、という状況でした。

直接には自分事に引き寄せることがあまりできない内容ではありましたが
春学期に授業でとった「Designing and Producing Media for Learning」
で、ウェブサイトを設計/デザインした経験を思い出したり
ウンウンと感じるところも少しありました。

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4時間弱のイベント。以下のような素敵な会社の存在を知る事ができたのが
当日の収穫でした。(Typecast、東京とスイスにオフィスのあるiA
2010年に創業された若手クリエイターによるTYPE/CODE
ウェブやモバイルアプリデザインを手がけるFTW (Frinds of The Web)

また、Brown大、MIT Media Lab、Harvardを卒業し、
デザインファーム大手Pentagram社でのパートナーを経て
Bloomberg社でdata visualizationに関わっているLisa Strausfeldさんが
紹介していたBloomberg社の様々なイニシアティブは
ビジュアル的にとても素敵で印象的でした。

彼女は媒体には様々な形態がある一方で
Book
Poster
Signs
Web
Mobile
Product
Exhibition
Building

全てに横串のように共通する以下の要素が存在するとし、
Type
Identity
Composition
Interaction
Information.Data
Storytelling
Singularity

その中でも最後のSingularityのDesign Principleに対する強い想い/興味を
語られていました。Solving design problems and making it a whole、と。
Pentagramでの仕事もthe idea of singularityを重視していた、と。
(もう少しここの話を説明してほしかったのですが残念ながらさらっとしか
 話してくれず、追加でSingularityについて検索してみました)
(参考)

 日本語では「技術的特異点」と訳されているらしい・・・
 以下はRay Kurzwellによる2009年2月のTEDトーク


その彼女が今いるBloomberg社の取り組み3つ:

①選挙前のデータvisualization
(Bloomberg State-by-State

②世界の億万長者のデータvisualization
(Bloomberg Billionaires

③世界の「Best」と「Worst」のデータvisualization
(Bloomberg Best (and Worst))
 Educationのカテゴリーで見てみると「Most Popular MOOCs」もある。

カラフルでポップな感じです。
データの正しさや解釈の際の注意点などを意識しながら見ないといけないですが、
頭を動かすきっかけづくりとしては面白いと感じます。

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またこのイベントで一番自分にとって良い発見だったのはHyperakt
この会社の創業パートナーであるDeroy Peraza氏によるプレゼンテーションは
面白かったです。

彼に関するプロフィールの説明が素敵です
「...works at the crossroads of social entrepreneurship and design」
プレゼンのタイトルは「Meaningful Design for the Common Good」

プログラムにあった彼のメッセージより一部抜粋、勝手に日本語訳:
・社会起業家や非営利リーダー達に率いられる組織の中には非常に重要な
 情報=「valuable data that can potentially be extremely useful to the
 general public or can shed light on the impact of their work」な
 ものが埋もれている。
・その一方でそれらは時に「not made accessible to the public,
 or at least not in a useful way」であることが問題である。
・我々Hyperaktはこのchange-makersたちのストーリーをよりクリアにし、
 かつ一般の人達にその社会的課題やストーリーを伝えることを手伝う。
・「the data needs to be structured an edited into powerful, visually
   stunning narratives」
 「After all, data is just data unless it both informs and inspires」

同社のクライアントリストのページをみると
・Non-Profit Brands
・Global Brands
・Entrepreneurs
とあり、蒼々たる組織の名前が並んでいます。

当日紹介された事例は以下の数々。
どれもその世界のExpertではない一般の人が理解できるように
ストーリーが組み立てられ、描かれています。
個人的にはこのブログでも書いたことのあるセサミストリートや
Acumenの事例が出て来てちょっと興奮しました。
Sesame StreetのInfographicsの事例
 「Early Childhood Education Matters」
CAREのImpact Fundの事例
Acumen Fundの10周年記念ウェブサイトの事例
Ford Foundationの2011の年間活動報告書の事例
Gates Foundationの事例
 「The Global Fights Against Tuberculosis」

鍵となるキーワードはJournalism、Data Science、そしてDesignとのこと。
またこのような仕事に関わる際は顧客の選別にも注意しなくてはいけない、
本当に真実を伝えたいと思っているクライアントかどうかを考えなくては
いけない、なぜならこのようなストーリーテリングのあり方を悪用する人も
いないわけではないから、と。

また、どのようなData Visualizationも完璧ではないことを理解すべき、
とし、見る側も与えられた情報をCriticalに見て考える力は重要と
言っていました。
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最後のTYPE/CODEFTW (Frinds of The Webからの
スピーカーは共に20代後半〜30代前半と思われる方々でしたが
以下の点が印象的でした。

①(TYPE/CODEのプレゼンより)
 従来はデザイナー▷デベロッパーという流れの
 ソフト開発プロジェクトが多かった
 Research/Strategyをやり、Project Scopeを定め、
 Creative Direction、Art Direction/Designを定めた上で
 Productionに入り、Releaseになると
 ただこの形だと修正をしにくいという問題がある
 
 今は早い段階からデザイナーとデベロッパー(そしてクライアント)の
 コラボレーションが重要で、プロセスも
 Research/Strategy、Project Scopeのあとに
 Information Architecture, Wireframe/UX Design,
   Art Direction/UI Design, Backend Development, Front-end Development
   Testing/QA (Quality Assurance), Launch v1.0
 というように変化している
 
 ここで大切なのMVP (minimum viable product)の段階で
 形にし、iterationsを繰り返すというプロセスの考え方
 rapid prototypingの重要性。最終形のArtifactよりStories。
 客観的にデザインを見つめるpragmaticな姿勢。

②(FTWのプレゼンより)
 グラフィックデザインのあり方は変わった。
 もちろんcolor, typography, shape, compositionなどといった
 基本的な要素に対する理解やスキルの必要性は変わらない。
 とはいえlook(見た目)よりfunction(昨日)へフォーカスが
 変化した。
 
 デザイン(design)は期待(expectation)を形作り
 その期待値は人の物事の捉え方を変え、使い方(use)を形作る。
 そしてその使い方を通じて影響力(impact)が定まって行く。
 it determines what that is, what these things are。
 つまりその対象物の存在意義がdesign -> expectation -> useを
 経て定義されていく、という流れ。

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結構自分にとってアウェーな世界のイベントに参加してみても、
こうやって振り返ってみると色々と貴重なインプットがあるんだな、と
思います。(ついでにUnion Square付近にあるCooper Union Rose
Auditoriumに足を運ぶきっかけにもなりました)


こんなかわいいポスターも発見

それにしてもデザイナーかデベロッパーか、みたいな雰囲気の場に
いると、どちらでもない自分は今後どのように世界に対して価値が
発揮できるのだろうか、とも考えさせられました・・