本が広げてくれる世界

今年自分が取り組みたいと思っていることの一つは読書を日々の習慣に組み込むこと。日々のニュースや誰かが書いたコラムといったオンライン上のインプットに自分の時間を細切れにする癖がついてしまっていたここ数年。本を読もう、と思い、今年は意識的に自分の時間の使い方を変えるようにしています。

小さな一歩として、まず、日々の短い通勤電車の中での過ごし方を「仕事のメールチェック」から「数ページでも文庫本を読む」というように変えてみました。結構これが一日のスタートの気持ちの持ち方を変えるから不思議。加えて週末に行くようにしているジムに本を持っていったり、まとめた空き時間には、本に手を伸ばすようにしはじめました。

ノンフィクション

ニューヨークに戻って最初に完読したのは「六千人の命のビザ」(杉原幸子著)

六千人の命のビザ

杉原千畝さんの映画(2015年秋公開予定、唐沢寿明さん主演)に関わっていらっしゃる方に昨年末にお借りした一冊。読もうと時間が取れたのはたまたまアウシュビッツ解放から70年という記事が世界中のメディアで取り上げられていた直後の週末、ウクライナ東部での砲撃が続いている中、ISに人質になった後藤さんが亡くなられたというニュースが流れた週末でした。(今から2週間前)

杉原さんの奥様の自伝でもあるこの本では、杉原さんの偉業として有名な「大量のビザをユダヤ人の避難民に発給」の箇所は冒頭部分に触れられているだけで、むしろそのあとの亡命の日々や日本帰国後の様子、その後50年以上の月日の間の出来事が大半を占めているもの。この奥様の人となりも非常に興味深いものでありました。

日本人で唯一 the Righteous Among the Nations(ホロコーストからユダヤ人を守った非ユダヤ人の人々と認められた人に授与される賞)受賞者である杉原千畝さんのお話。今世界で起きていることや、日本という国が取ってきた立ち位置・今後取り得る立場なども一緒に考えさせられる一冊。「Doing what's right, not what's easy」とはどういうことなのかを考えるきっかけにもなりました。

フィクション

次に読んだのは2015年の本屋大賞にノミネートされている「土漠の花」(月村了衛著)


こちらは一時帰国中に恩師に頂いた一冊。フィクションとは思えないくらい具体的に一シーン一シーンが描かれていて、息つく間もない展開が続いていく内容でした。陸上自衛隊空挺団員達の生き残りをかけたドラマ。舞台はソマリアの国境付近。普段アクション系の本はあまり読まない私ですが、一気に読了。日々の仕事でアフリカのいくつかの国の歴史や現状について考えることも多いので、ソマリアという比較的馴染みのない国の話ではありましたが、自分の知っていることと重ね合わせながら読みました。

bookmeter.comなどには色々な読書感想が載っていますが、それを見てしまうとちょっとネタバレになると思うので、この本が気になる人は感想文は事前に読まないほうがいいかもです。月村了衛さんという方の本は初めてでしたが、過去の作品リストとかを見ているとこういうアクションものが多いみたいですね。いつか映画になるのでしょうか。

次は何を読もうかな

読書といえば有名な出口社長の「人間は『人から学ぶ』『本から学ぶ』『旅から学ぶ』以外に学ぶ方法を持たない動物」という言葉を思い出します。まだ洋書には手を出せていませんが以前購入した渡辺由佳里さんの「ジャンル別洋書ベスト500」もそろそろ活用していきたいところ。また、この方のブログもありがたいですね「本から学ぶ|ライフネット生命会長兼CEO 出口治明が読む50冊」


2015年、まだ始まったばかり。

読書、楽しいです。