「再生・やり直し」に必要なこと

この間の金曜日は私にとっての10数回目となるCreative Mornings。おそらく今までの人生で一番印象に残ったinteractive presentationだったと思うので、忘れないうちにここにまとめておこうと思います。(公開ビデオが出たらリンクを貼ります)

以前ブログにも書いたことのあるCreatives Mornings。今月のグローバルテーマはRenewal(再生・やり直し)でニューヨークでのスピーカーはSYPartnersのKeith Yamashitaさんでした。

もともとKeithさんは7月のIntention(意図)のテーマの時に登壇するはずだった予定。そのチケットを入手する直前にスピーカーがPriya Parkerさんに変更になるというアナウンスが。「おや?」と思いながらも私はPriyaさんのArt of Gatheringのトークに行ったのでした。

なので、今回11月の案内がきた時にKeithさんの名前を見た時は「お!」と心が踊った一方で、その説明の部分に「突然脳卒中になったら?」というくだりを見た時に「夏のリスケはこれが原因だったのかな」という思いが頭をよぎりました。("What happens when you are having the best year of your entire life, the best year in your career, and you are suddenly taken down by a stroke? Keith Yamashita shares his story in vulnerable detail.")

でも、まさか3ヶ月ちょっとで公開トークをするような回復をするわけじゃあるまいし、きっと過去に体験したことをベースにしたトークなんだろうな、と思いながらアトピー回復途上のフラフラした身体で会場についたのが朝の8時45分。満席の会場を前にCreative Morningsの創業者のTinaがいつものようにオープニングとスピーカーの紹介をテンポよく始めます。そして、実はまさに今年の7月にKeithさんが脳卒中で倒れたという説明を聞きます。

「え!」

そしてKeithさんの登場。

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1時間あまりのトークの内容はここでは全くまとめきれないのでビデオの公開を待つことにしますが、このトークはKeithさんが脳卒中で倒れた時の話、その時に感じたこと、それを経て彼が大切にするようになった信念などが凝縮された素晴らしいinteractive presentationになっています。

今までのCreativeMorningsでの自分の中での1番のお気に入りはMaggie DoyneさんのWrite a Love Letterだったのですが、これもスピーカーの方の壮絶な自己体験とそれを乗り越えた後に得た気づき、体験後初公開するストーリーが含められいたものでした。心が締め付けられる瞬間がいっぱいある、記憶に残るトークでした。今回のKeithさんのトークはその点で似た体験でした。ちなみに10回以上参加しているCreative Morningsで朝から泣かされたのはこの二回です。

A love letter to myself
「再生・やり直し」の時期は自分を赦し、労り、
自身に対して優しく、忍耐強く、創造的に、かつ賢く在る必要がある

印象的だったフレーズ・コンセプト〜「再生・やり直し」に必要なこと

  • どんな暗闇にも光が差し込んでくるcrack(隙間)は存在する
  • 隙間から差し込んでくる光を受け止めなくてはいけない、でも、暗闇に座っていることを受け入れる姿勢も「再生」には大事
  • "Process of renewal is a shared experience"
  • 自分から何かが奪われたと思った時、自分から失われたもののリスト (stolen) を書き出してみよう。そして、その横に失われなかったもののリスト・自分の手元にまだ残っているもの (kept) を書き出してみよう。きっとkeptのリストの方が長いから。
  • "A holistic renewal requires a holistic approach" 全体論的なアプローチが大切
  • 今まで自分が避けていたこと、自分に言い聞かせていた「自分は〜だから」に向き合ってみることの大切さ "Renewal requires confronting negative beliefs about yourself"
  • "We don't love you beacause of your face. We don't love you because of your voice. We love you because of your soul."と伝えてくれる友人の存在のありがたさ
  • "Walk through life with soul"
  • "Leave room for heartache"
  • 自分のお葬式プレイリストを作るとしたら
    Funeral songs
  • (最後の5分に「今日が自分が死ぬ前の最後の日だとしたら」という瞑想を会場全員でしたのですが、それがまたとても強烈な5分だったので、ビデオが公開されたらまたここに追記しようと思います)
51歳のKeithさん。彼が心を込めて届けてくれたトークを直接体験することができて、その後直接ご挨拶することができて、本当によかったなと思った朝でした。

持病の慢性的なアレルギー・アトピーに向き合っている最中ですが、贅沢すぎる心の栄養素をもらった感じです。大事に受け止めながら自分もholistic renewalのプロセスを頑張らないと、と改めて思いました。

"A creative life, fully lived, means sitting in both sadness and joy. Lightness and darkness. Hope and humility" - Keth Yamashita, Founder of SYPartners

Thank you.


 
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補足メモ:
CreativeMorningsって?
CreativeMorningsは世界各地でボランティアメンバーたちが主催するマンスリーの朝トークシリーズ、'A breakfast lecture series for the creative community'。ブログを書いている今日の時点で193都市で展開されている取り組みです。トークのある金曜と同じ週の月曜の11AMに無料チケットがオンライン公開されます。Keithさんの回は2分以下で全て席が埋まってしまっていたようです。なぜか東京にはまだないCreative Mornings - 2016年3月

Keith Yamashitaさん?
Creative Morningsにあるプロフィールをこちらに転載。脳卒中を起こした時はちょうどメディアラボのJoi Itoさんを含むメンバーとカンファレンスコールをしていた時だったようです。
"He started his career by working for Steve Jobs—in a humbling, revelatory experience that turned him on to the power of creativity. In his two and a half decade career at SYPartners, he has worked with His Holiness the Dalai Lama on nurturing well-being at work. Kaiser Permanente CEO Bernard Tyson on conceiving a total-health system—focused on wellness, not just sick-care. Oprah Winfrey on imagining and making new paths for women to claim their best lives. Howard Schultz and Kevin Johnson on the creation of Starbucks—a company that strives to be a very different kind of publicly-traded company. Ginni Rometty on the grand remaking of technology icon IBM. Bobby Kotick on inventing the next generation entertainment company. And Laurene Powell Jobs on imagining a new kind of American high school." - https://creativemornings.com/talks/keith-yamashita

SYPartners?
デザインコミュニティ内の人だったらほぼ知っているだろうSYPartners。そうでない人たちも博報堂のkyuについて聞いたことがある人はいるのではないでしょうか。2016年にkyuがIDEOに30%の出資をしたというニュースが話題になりました。その「kyu」が立ち上がった2014年からそこに参画しているのがSYPartnersです。【海外研修レポート(NY編)】―SYPartnersに学ぶ未来を創造する方法(博報堂のページより)