Outbound型ブログを通じた出会い with 加藤さん
ブログを書いていると様々な出会いがあったりします。でも、それは多くの場合(というかほとんどは)読んでくれる人から私へ、という形のinbound的なものとなります。多分今迄、唯一outbound的な出会い方をしたのが加藤さんでした。
もともと非常に忘れっぽい自分のメモ代わりに始めたこのブログ。今でもたまに昔のエントリを読み直して「こんなこと書いてたんだ、へー」と自分で思うこともしょっちゅう。本当にこの物忘れの激しさは問題だと思うくらいです。
そんな「記憶喪失に陥る未来の自分」のためのこのブログ。せっかくなら、と未来の自分がありがたく思うように、とエントリ-を書く時になるべく情報源を明示することを意識しています。自分は実は良く分かっていないのに、感覚的に分かったふりをして前に進むことがある人間です。「聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥」じゃないですが、文章に残ってしまうなら数十秒かけてGoogleで確認しよう、そんなことを意識しながらブログを書いていました。
もともと非常に忘れっぽい自分のメモ代わりに始めたこのブログ。今でもたまに昔のエントリを読み直して「こんなこと書いてたんだ、へー」と自分で思うこともしょっちゅう。本当にこの物忘れの激しさは問題だと思うくらいです。
そんな「記憶喪失に陥る未来の自分」のためのこのブログ。せっかくなら、と未来の自分がありがたく思うように、とエントリ-を書く時になるべく情報源を明示することを意識しています。自分は実は良く分かっていないのに、感覚的に分かったふりをして前に進むことがある人間です。「聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥」じゃないですが、文章に残ってしまうなら数十秒かけてGoogleで確認しよう、そんなことを意識しながらブログを書いていました。
加藤さんのブログに出会ったのもそんな「数十秒かけてGoogleで確認」中の時。「ハーバード」「教育学大学院」「キーガン」「教授」みたいな組み合わせで検索した時に加藤さんのこちらのブログに出会いました。
そんな形で外部のリソースに立ち寄ることは良くあるのですが、加藤さんとの関わりを敢えて「出会い」としたのは後日談があるからです。後で本題となるキーガン教授については別途書きますが、加藤さんのブログのプロフィール内容がその「後日談」に続きます。
そんな形で外部のリソースに立ち寄ることは良くあるのですが、加藤さんとの関わりを敢えて「出会い」としたのは後日談があるからです。後で本題となるキーガン教授については別途書きますが、加藤さんのブログのプロフィール内容がその「後日談」に続きます。
なんと彼のプロフィールには「ハーバード大学教育学大学院に博士課程で進学予定」との記載。すでに修士でもかなり専門的な事を学ばれているらしいという説明書きを見るだけでも「T字型人材」の横棒のびっぱなし人間の私としては、この人の事をもっと知りたい、とワクワクさせられます。(関連エントリ-:伸びたT字型の横棒ーCenter on the Developing Childという研究所 )
ちょうど自分が調べていたキーガン教授の事を日本語で書いている人だし、かつかなり専門知識を持っているらしい、HGSEを受験するなら卒業生として先方にとっても時間の無駄にならないかもしれない・・・1分くらい考えてから彼のgmailにメールを送りました。たまたま加藤さんがニューヨークに一時的に移られていた直後のタイミングで、「おぉ」ということになり、数日後には二人で仲良く?スターバックスで会う事ができました。
ちょうど自分が調べていたキーガン教授の事を日本語で書いている人だし、かつかなり専門知識を持っているらしい、HGSEを受験するなら卒業生として先方にとっても時間の無駄にならないかもしれない・・・1分くらい考えてから彼のgmailにメールを送りました。たまたま加藤さんがニューヨークに一時的に移られていた直後のタイミングで、「おぉ」ということになり、数日後には二人で仲良く?スターバックスで会う事ができました。
彼とはそれ以降直接は会えていないのですがFacebookでつながっているので彼の投稿やブログから色々刺激をもらえるような関係になることができました。大変ありがたいことです。あの夏のマンハッタンでのスタバでは「成人以降の個人の発達プロセス」、「企業内研修」、「リーダー育成」、「学習効果の測定」や「formative assessment」のテーマで盛り上がった思い出があります。Outbound型の出会い、次は誰とだろう。
その加藤さん、12月16日(月)に麹町アカデミアで登壇されるようです。
「社会科学を学ぶ」シリーズ1
またオフィシャルなブログ「発達理論の学び舎」はこちら
そもそもなんでキーガン教授を調べていたのか
最近邦訳が出たキーガン教授の本が話題になっているらしい、ということもあり、一応なんでキーガン教授について調べていたかも書いておきます。出版社は英治出版。過去このブログでも触れているような気がしますが、つくづく素晴らしい本ばかり発行される素敵な出版社だといつも思います。『なぜ人と組織は変われないのか ――ハーバード流 自己変革の理論と実践』ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー[著] 池村 千秋[訳]
キーガン教授が昔から主張してた理論の実践向けの書。読みたい▷“@eijipress: 『なぜ人と組織は変われないのか』、八重洲ブックセンター本店さんのビジネス書ベストセラーで7位です!! http://t.co/BXckKqW0Vl pic.twitter.com/nx024xRHhv”
— Tomoko Matsukawa (@Mokomoko924) December 4, 2013
そのキーガン教授は私が卒業した大学院所属の教授ですが、私が在籍していた時は授業を一つも担当しておらず、残念ながら教えを直接得ることはできませんでした。
とはいえ、彼の指導をしていた博士課程の学生の卒業論文発表会(公開されているのです)にふらりと足を運んでみたり、彼が重要な役割を担っているHILTカンファレンス(ハーバードの教授達に向けて「教え方をどうinnovateしていくべきか対話をしようではないか!」的なカンファレンス、確か今年が2回目とか、Harvard Initiative for Learning & Teachingの略)にも行っていたのでどういう方かというのはうっすらと知っていました。それでも彼の有名な研究内容が具体的にどういうものであったかということは良く知りませんでした。(関連エントリ-:HILTカンファレンス参加:ハーバードでの教え方+学び方の進化のために)
自分が大学院卒業後に働いていたAcumenで「大人が学ぶということは」という調べものをしていた時に彼の名前や彼の発達理論のカケラに出会ったのがこの7月。その時に書いたのがこのエントリ-でした。(過去エントリ-:自分で色々と決めて来た系の人がぶつかる壁)
Lectica Inc.という組織は設立されて18年ほどが経過しているようですが、教育現場(学校内もそうですが研修を実施している組織内でもそう)での学びのアセスメントの在り方に変革を起こそうと設立以来研究、ツール開発、ツール提供を進めて来た組織です。当初はNPOとして活動を進めていました。
同社のホームページのトップには"We are leading the assessment revolution"という強いメッセージがあり、彼らの提供するツールの価値は「that supports the development of learners and educators while fostering effective teaching and mentoring practices」であると書かれています。
このdevelopment of learners and educatorsというところが近年重要性が再認識されているformative assessmentという考え方につながります。何を学んだか、何を知っているかをテストするsummative assessmentとは目的が異なる、何を学ぶべきか、どう学ぶべきかを教えてくれるタイプのアセスメントという理解です。あくまでもdevelopment(発達)過程をサポートするためのテストという位置づけ。(関連エントリ-: 両方の考え方を行き来する(更新) )でもLectica Inc.は「単なるformative assessments以上のものである」とHPに記載しています。Learning sciences, psychometric, teaching, and philosophyから抽出されたエッセンスも融合されている、と。
そしてもう一つがLectaTests。大人の発達段階を意識して創られたというこちらのテスト。DiscoTestと基本的には同じ考え方でデザインはされているようですが、特にAdult Learningにフォーカスしたもので、自分の経験や興味はどちらかというとこちらが近いです。既に多くの欧米の政府機関や企業組織にサービス提供しているようです。
現在提供されているのは以下の6つ。どれも近年企業研修の世界やリーダーシップ育成の世界で注目が高いものだと思います。
今後どんどんニーズは高まる一方だと自分が考える理由を上手く説明してくださっている素晴らしいエントリ-(ケネディスクール卒業生の日本人の方の記事)がこちら▷「日本と欧米のリーダーシップの融合が求められている一人一人がリーダーシップを発揮できるコミュニティーオーガナイジングとは(JB Press 2013/12/2記事)」。先日Economist誌にも「The mindfulness business」(2013/11/14)という記事もありました(関連エントリー:「止まること」と「手放すこと」)
と、色々例のごとく長くなってしまいましたが、そもそもこのエントリ-を書こうと思ったのは加藤さんが公開してくださったこちらのトーク(加藤さんとインテグラル・ジャパン代表の鈴木さん)を聞いて感動して、それを文章に起こそうと思ったからなのですが、それについてはまた次回書こうと思います。トーク内容は上記の前提情報がないとちょっと「?」になるかと思ったので。
今回のエントリ-では①Lecticaって存在を「大人の学び」に関わっている人にもっと知ってほしい!という気持ちと②やっぱり理論を時折吸収すると思考が広がっていいね、という気持ちをまとめておこうという感じになりました。次回はトークの内容から自分が吸収したLecticaのアドバイザーボードの一人であるHGSE教授の超有名人の一人であるKurt Fischer教授のことや、キーガン教授との考え方の違いなど色々と整理したいなと思っています。
大学院を卒業した後もこういう形で学びが続いて行くのは本当にありがたいことだな、と思います。改めてインターネットって凄いと感じます。Googleありがとう、ブログありがとう、加藤さんと鈴木さんの対話の録音とウェブへのアップを可能にしてくれたテクノロジー、ありがとう。
今日も長文の「記憶喪失に陥る未来の自分」のためのブログ、お付き合いいただきありがとうございました。
おまけ情報:
Lectica Inc.という組織と彼らの提供するツール
で、ようやく本題なのですが、そもそも加藤さんに出会って私がどれだけ「発達理論」という深く広い学問の理論体系に関する理解がないかということを痛感します。やはり1年の修士で得られることとはたかが知れています。そのエキスパート加藤さんが目をキラキラさせながら私に話してくれたのがLectica Inc.という組織が提供するアセスメントツールの存在でした。今は加藤さんはそこでインターンとして働かれています。Lectica Inc.という組織は設立されて18年ほどが経過しているようですが、教育現場(学校内もそうですが研修を実施している組織内でもそう)での学びのアセスメントの在り方に変革を起こそうと設立以来研究、ツール開発、ツール提供を進めて来た組織です。当初はNPOとして活動を進めていました。
同社のホームページのトップには"We are leading the assessment revolution"という強いメッセージがあり、彼らの提供するツールの価値は「that supports the development of learners and educators while fostering effective teaching and mentoring practices」であると書かれています。
このdevelopment of learners and educatorsというところが近年重要性が再認識されているformative assessmentという考え方につながります。何を学んだか、何を知っているかをテストするsummative assessmentとは目的が異なる、何を学ぶべきか、どう学ぶべきかを教えてくれるタイプのアセスメントという理解です。あくまでもdevelopment(発達)過程をサポートするためのテストという位置づけ。(関連エントリ-: 両方の考え方を行き来する(更新) )でもLectica Inc.は「単なるformative assessments以上のものである」とHPに記載しています。Learning sciences, psychometric, teaching, and philosophyから抽出されたエッセンスも融合されている、と。
Lectica Inc.では対象別に大きくわけて二つのアセスメントツールが提供されています。一つはK-12(就学児)用のDiscoTests。Discoは対話という意味のDiscourseの一部を取ってつけられているこのテスト。無料で提供されているというから驚きです。
そしてもう一つがLectaTests。大人の発達段階を意識して創られたというこちらのテスト。DiscoTestと基本的には同じ考え方でデザインはされているようですが、特にAdult Learningにフォーカスしたもので、自分の経験や興味はどちらかというとこちらが近いです。既に多くの欧米の政府機関や企業組織にサービス提供しているようです。
現在提供されているのは以下の6つ。どれも近年企業研修の世界やリーダーシップ育成の世界で注目が高いものだと思います。
- Leadership decision making (LDMA)
- The nature of leadership (LLRA)
- Self understanding (LSUA)
- Reflective judgment (LRJA)
- Ethical reasoning in the workplace (LERA)
- Reflecting on mindfulness (LSMA)
今後どんどんニーズは高まる一方だと自分が考える理由を上手く説明してくださっている素晴らしいエントリ-(ケネディスクール卒業生の日本人の方の記事)がこちら▷「日本と欧米のリーダーシップの融合が求められている一人一人がリーダーシップを発揮できるコミュニティーオーガナイジングとは(JB Press 2013/12/2記事)」。先日Economist誌にも「The mindfulness business」(2013/11/14)という記事もありました(関連エントリー:「止まること」と「手放すこと」)
今回のエントリ-では①Lecticaって存在を「大人の学び」に関わっている人にもっと知ってほしい!という気持ちと②やっぱり理論を時折吸収すると思考が広がっていいね、という気持ちをまとめておこうという感じになりました。次回はトークの内容から自分が吸収したLecticaのアドバイザーボードの一人であるHGSE教授の超有名人の一人であるKurt Fischer教授のことや、キーガン教授との考え方の違いなど色々と整理したいなと思っています。
大学院を卒業した後もこういう形で学びが続いて行くのは本当にありがたいことだな、と思います。改めてインターネットって凄いと感じます。Googleありがとう、ブログありがとう、加藤さんと鈴木さんの対話の録音とウェブへのアップを可能にしてくれたテクノロジー、ありがとう。
今日も長文の「記憶喪失に陥る未来の自分」のためのブログ、お付き合いいただきありがとうございました。
おまけ情報:
2014年春学期はキーガン教授はAdult Developmentという授業を教える模様。羨ましい。Fischer教授は定番授業を年間を通じて。私のルームメートが彼の直下で指導を受けていた。当時はこの教授がどれだけ凄いかあまり知らなかったなぁ・・
Extension Schoolでキーガン教授が教えているAdult Developmentの授業のシラバスでは以下が指定テキストのようですね。
Extension Schoolでキーガン教授が教えているAdult Developmentの授業のシラバスでは以下が指定テキストのようですね。
- Kegan, R. (1994). In Over our Heads, Cambridge: Harvard University Press.
- Kegan, R. and Lahey, L.L. (2009). Immunity to Change, Boston: Harvard Business School Press. (日本では今年発行ですね)
- Garvey Berger, J (2011) Changing on the Job, Stanford Business Books.
- Drago-Severson, E. (2009), Leading Adult Learners, Corwin Press.