改めて「自分は何をしてきた人だろう」を整理した

前回書いたように、「ウェブサイト(ブログ)のアップデート」に興味はあるものの、かなり長い間一歩を踏み出せていなかった私。ちょうど今週担当していたクライアントさんにコーチングをしてもらう機会があったので、そのことを扱ってもらう場にしていただいた。

そこから出てきた気づきとして、

  • そのウェブサイトに訪問した人には「この人はこういうことができる人・してきた人、こういうことを考えている人」が伝わるといいな
  • そのためには、そもそも私がやってきたことの洗い出しが必要だな
があったので、表題にあるように「自分は何をしてきた人だろう」を整理することに取り組んでみた。




整理中に少し意識したこと

自分は大きな地図を最初に考えてから細部にいくことが好きなのだけれど、完全白紙の状態だと思考がなかなか膨らみにくいので、骨子となりそうな、既存の何かを仮で見つけてきてからその上に肉付けをしたり、インスピレーションをもらって自分なりに変えていったりすることが多い。今回も自分のキャリアの棚卸しをするためのとっかかりとして、自分に比較的馴染みがある・記憶に新しい、以下の二つのことを意識してみた。

一つ目はStanford大が結構前に提唱していたOpen Loop Universityの考え方(以下の図はhttp://www.stanford2025.com/open-loop-universityより)



もう一つは、Stanford Center of Longevityが2022年4月に出した"The New Map Life"というレポートのP63にあった以下の学びに関する地図。以下は The New Map of Life by Stanford Center of Longevity (April 2022) のP63より。

P63 of The New Map of Life by Stanford Center of Longevity (April 2022)



結局それらを思うだけでは前に思考が進まなかったのだけれど、自分のキャリアを俯瞰したときに、これらが現す世界観と重なるものがある、とは引き続き思っている。

結局は70:20:10のフレームワークで整理した

最終的には人材育成の文脈でよく言われる70:20:10のフレームワークで自分のやってきたことを整理してみたらなかなか興味深い結果になった。これは、もともとは1988年にMcCall Jr. et al. によって提唱された考え方で後にCentre for Creative Leadershipによって広められたもの。

自分は70:20:10のうちの「10」に関わることの多い人間だと思っていたのだけれども、改めて整理してみたら、自分は70:20:10の全部に関わってきた人間だった、ということが浮き彫りになった。


きっとやったことで忘れているものもありそうだけれど、ここでこうやって書き出し整理したアウトプットは、いつかウェブサイトをつくっていくときに役立ちそうな気がしている。

70のExperientialのところで自分がやってきたこと

Experiential (相手にとって新しい・またはチャレンジングな環境を提供すること、成長に適切な環境を整えてあげること、環境へ飛び込むことのサポートをすること)

自分の経験から出てくるキーワードは: selection, onboarding, mentoring (entrepreneurial individuals who build things from scratch), giving advice, coaching

  • 仕事として
    • Acumenが5つの地域(インド・パキスタン・東アフリカ・西アフリカ・中米)で直接展開していたリーダーシップ育成プログラム(Fellowship)をフランチャイズ化して新たな地域(マレーシア・バングラデッシュ・スペイン・イギリス)でプログラムをローンチする時の、現地トップ・チームに対する初年度の伴走・育成とメンタリングの提供
    • 上記Fellowshipの「選抜プロセスの3ステージ全てのリニューアル」と「7つの拠点それぞれから毎年20人の対象者を選抜するまでに必要となるチームメンバーの育成とマネジメント」(各地域300-800人から20人を選抜)
    • 世界各国18都市に存在していたAcumenのボランティアチームをまとめる本社側の責任者として「新拠点設立出願プロセスのデザイン」「応募チームの面接〜合否決定」「活動年度中のマネジメント」の実行
  • プライベートで
    • 業界内・業界を超えた転職検討時期・活動中のキャリアコーチング
    • 日本から海外留学を検討している人向けのマンツーマンコンサルティング

20のSocial Learningのところで自分がやってきたこと

Social Learning(学びの機会を生み出すコミュニティの運営やピアラーニングが起きる場の設計・提供、メンター・コーチとしての相手の学習・成長のサポート)

自分の経験から出てくるキーワードは: mentoring, coaching, retreat design, facilitation, community building & managing

  • 仕事として

    • 世界9拠点で活動している組織の全職員(120人)が集合した3日間のスタッフリトリートの設計のリードを担当、人事チーム3人と共に運営・当日のファシリテーションを実施
    • 歴代のAcumen Fellowたち300人を含む400人が世界中から集まった4日間のリトリートのワークショップ部分の企画・プロジェクトマネージメントの担当。運営チーム12人をまとめる執行メンバー3人のうちの一人としてケニアで開催されたAcumen初のGlobal Gatheringに関わる
    • ボランティアとしてAcumenを遠隔から支援する各都市のチャプターリーダーたち向けの年一回の2日間リトリートの設計、当日の運営・ファシリテーションを3年間実施;合計50人近くいたチャプターリーダーたちのコミュニティマネジメント、学び合いの仕組みづくり
    • 日本の会社から次世代リーダー層として海外の自社拠点やグループ会社へ派遣されてOJTを体験しているトレーニーに対する現地での学びの伴走役としてのメンター業務
  • プライベートで

    • ニューヨークで働く日本人女性の会(JWN)の運営メンバーの一人として2018年より月次のイベント企画、開催、コミュニティ運営、運営の仕組みデザインに関わる - 現在登録メンバー200人超
    • 日本国内で教育事業を行うアントレプレナー・団体や自治体をサポートしているHatchEduのメンターとして主に一般社団法人Kids Code Club(キッズコードクラブ)の活動支援に携わる
    • Tokyo+Acumenのボランティアチームの運営メンバーとしてインパクト投資の先駆者的な同組織の提唱するpatient capitalのあり方や背景思想に関する勉強会などを主催(2013年まで)
    • The Economistを読み、ディスカッションする会を週末の朝に実施していたコアメンバーの一人として東京で活動(2012年まで)

10のTrainingのところで自分がやってきたこと

Training(研修やトレーニングといった「日常での応用を意識しつつ、非日常的な環境下で新しい気づきを得る」場をデザイン・提供)

自分の経験から出てくるキーワードは: instructional design, leadership development, facilitation, coaching, reflection
  • 仕事として

    • 「人を生かし育てるリーダー」になるための手段の一つとしてのコーチング習得の機会をマンツーマンスタイルで提供するCoachEdプログラムの企画・設計にカリキュラム責任者として関わり、デリバリーするトレーナーの育成責任者と連携しながらプロダクトのPDCAを回す
    • 小学校の校長先生25人、教頭先生25人を対象にしたコーチング型コミュニケーションの研修の企画・デリバリーに担当者の二人の一人として関わり、スポンサーである鎌倉市の教育委員庁のリーダーと一般社団法人21世紀学び研究所の所長と連携する
    • 世界各地で社会課題に対して解決策をつくり、スケールさせようとしているAcumen Fellowsたちの参加する1年プログラムの内容のリニューアル(対面のみのプログラムから非同期・オンラインの部分を取り入れたハイブリッド型への進化)のリードを担当;一部ファシリテーション
    • 社会起業家や社会課題を目的にチームとして活動している営利・非営利組織のメンバー向けにデザインしたチーム学習型の無料MOOC (Massive open online course)の設計・デザイン・コンテンツパートナーとの連携のマネジメント(それらコースは今はAcumen Academyの一部)
    • 日本企業向けのカスタマイズ研修設計・提案、アカウント・プロジェクトマネージャーとしてステークホルダーとの連携をしなが目的に沿った研修をデリバリーし、振り返りミーティングまでのサイクルを回す(特に印象に残ったのは次世代リーダー育成プログラム向けにWhiteship社のEgaku Workshopを組み入れた2年プログラム)

これらのアウトプットを支える自分のインプット機会(自分にとっての10)はこのブログの初期にたくさん登場するハーバード教育学大学院の10ヶ月の時間もそうだし、Co-Active Training Instituteでのコーチトレーニングプログラム(5ヶ月にわたり合計100時間)もそうだし、ほんの数週間だったけれどPositive IntelligenceがやっていたPQ® Trainingがあったと思う。もちろんそれらはsocial learningの要素もとても強いので厳密にいうと20+10といったところかもしれないけれど。

そして、リフレクション、という意味ではThe Coaching Fellowship(今はThe Women's Impact Alliance)の体験が印象的に残るものの、実は日頃からの「他の人の学びに関わる」という場所にいるだけで日々自分に矢が戻ってくることがいっぱいあるな、とも改めて思わされる。

自分が「サバティカル的な」2022年秋〜2024年夏をすぎた後にどのような整理の仕方が適切になるのかは今はさっぱりわからないけれど、

金融の世界から人材育成の世界に(半分興味本位半分半信半疑で)飛び込んでから12年。色々なことをやってたね。



Photo by UnsplashAnnie Spratt