新しく何かを創るということ

終わりました!!!
達成感。そして放心状態。




















すぐに学業に戻るモードではないので
今感じている事をまとめようと思います。
今の瞬間を書き留めておきたい、という自分中心的なブログでもあるので
長文になりました・・。

このブログエントリーのテーマは「新しく何かを創るということ」
具体的には「アイディアをより具体化して他の人に伝える段階にまでもっていく事」
(なので実際に創る段階に至る前のステージまでの話です)

どうしてこのテーマについて書きたいかというと
過去6週間の間にそれを体験する密度濃い機会が3つもあったから。
今振り返ってみると、なるほど自分忙しかった訳だ、とも思うわけです。
秋学期の中盤に自分がダラけていたことが信じられないほど、笑)

その3つはなんだったのか。
①冬学期に2週間集中であったInformal Learning for Childrenのコース内の話
 ・クラスメート5人(3人までは希望者と一緒になることが可能)でチーム形成
 ・Informal Learning for Children用のメディアの企画を立案し、
  専門家の前でそのアイディアのpitchプレゼンをするという課題
 ・pitchプレゼンは12分
 ・専門家にフィードバックをもらい、その課程における提出物と
  最終プレゼンの内容を踏まえ成績が付与されるというもの
 ・チーム全体に対して成績が付与されるのでメンバー間で差はつかない

②ハーバード内にあるBRIDGEという団体が主催していた
 Education Innovation Pitch Competition (EIPC)のビジネスコンペの話

 (11月14日のブログ参照
 ・教育学部の仲良しガールズ4人でチーム形成
 ・教育業界においてイノベーションを起こす事業の企画案を作成し、
  専門家の前でそのアイディアのpitchプレゼンをするというコンペ
 ・pitchプレゼンは5分
 ・書類審査は12月末で、それが通った私達チームは
  2月13日の準決勝審査に向けて上記の①の授業が終わった1月の最終週から
  詰め込みで作業
 ・①が教育の視点からのインパクトや理論に重点をおいたpitchであったのに対し
  ②は完全にビジネスとしてのpitchで優勝チームを始めとした3チームには賞金が
  渡されるというもの
 ・2月13日の1週間前にpractice pitchがあり、そこでのフィードバックを受けて
  更に調整する、という2月の前半はこれに全て振り回されていたといっても
  過言ではない

③ハーバードが主催している
 Harvard Deans' Cultural Entrepreneurship Challenge 2013のコンペの話
 ・昨年の9月13日にハーバードの学長から学生に送られて来た
 「President Faust's 2012 Welcome Letter to the Community」から引用すると
 「A “president’s challenge” invited students to envision ventures of 
  high social impact in five categories—clean water, personal health, education, 
  global health, and clean air. The challenge induced a cascade of inventive thinking, 
  attracting proposals from some 170 teams inspired by a will to do good in the world. 
   I look forward to initiating a new challenge in the year ahead.
 2011の秋にハーバードがiLab(Harvard Innovation Lab)をopenしたのと同様
 大学がコミュニティ全体として「learning involves not just thinking but doing」を
 プッシュしようとしている動きの象徴でもあります(参考:3分弱のビデオ
 ・そのPresident's Challengeが今年新設したのがCultural Entrepreneurship部門。
 ・そもそも応募することなんて思いもつかなかった私。たまたま春学期に
  履修している授業で意気投合したブラジル人の研究生
 (彼女は現役の脳神経外科医!)にEgaku Workshopの話をしていたら
  応募しなよ!と背中を押され、私の所属するIOCAのメンバーにFacebookの
  グループチャット上でこのコンペについて共有したのがちょうど2週間前。
 ・一ヶ月後には審査結果が届く予定で決勝に残った最大10チームには5000ドル
  とメンターシップやilab内でのワークスペースが与えられる。
  確かその後は5月に最終発表があり、75000ドルとilabでの夏のresidencyが
  更に選ばれたチームに提供されるらしい。ということでstakeの高さ(事の重み)
  でいうと①<②<<<<③な感じ。
 ・エントリーチームとしてはIOCAのメンバー4人+アドバイザーとして
  3人の強力サポーター(2人はIOCAのメンバーそしてもう一人はこのブログでも
  何度か出て来ているKaren Brennan教授★)という体制で臨むことになった。
 ・現役のハーバード生が最低一人いなくてはいけなく、かつリーダー役をしなくては
  いけないということで柄でもなく私は肩書きはTeam Leader。
  私の事を直接知っている人は分かると思うけれども
  自分は「リーダー」ってタイプではない。
  とはいえリーダーにも色々あるので自分はあくまでもちょこまか動き回って
  チームが全体として前に進むことを可能にする系のリーダーなのかも、と
  勝手に解釈し、「Team Leader」の肩書きにびくびくしないようにしている。
  ・・・それにしても留学する前はまさか自分が事業立案コンペにチームの
  「リーダー」としてエントリーするとは夢にも思っていなかった。
  人生何が起こるか分からないものです。
 

①〜③のプロセスは全てとてもintenseで身体的にも精神的にも
楽ではなかったけれど全てとても良い学びを得る機会でした。

何を学んだか?という点を大きくまとめると(おそらく重要な順番で以下の3点)
・1) チーム全体における自分の強みは何か、貢献できるところでmaxの力を発揮する。
 そのためには自分がそのプロジェクトやアイディアに対して可能性を信じ、
 ワクワクしながら取り組むことが大事。
・2) それに加えて自分と同じレベルのコミットメントレベルを持ち、かつ
 自分と被らない別の分野での能力を持っているメンバーの存在が必要不可欠。
・3) チームがプロジェクトを通じて目指しているもの、
 具体的なレベルでのアイディアについて認識合わせを
 なるべく早い段階でしていること、常にアイディアを更新しながらも
 make sure everyone is on the same pageが無駄の少ないプロセスにつながる

ワークショップに行ったりセミナーに行ったりしていて
「Entrepreneurship 101」的な話をたくさん聞く機会は今まであったけれども
やはり自分の手を動かして、チーム内で真剣に議論を重ね、眉間に皺をよせながら
世界へ自分達のアイディアを効果的に伝える方法を試行錯誤するのは
実際にやってみないと分からないものだと思う。
(Pitchまででここまで密度が濃いのだから本当に起業をしている人達は本当に
 凄いと心底思う)

特に 1)と 2)はチームメンバーの構成やそのメンバーの目的意識や日々における
優先順位にも左右されるdynamicな要素だからかなりチーム全体のパフォーマンスや
皆の身体的/心理的負担の大小に影響を与えるもの・・ということも今回の3つの
経験で学んだ。

(①の補足)
そもそも授業の課題なのでそこまでメンバー全員熱くならなくてもよかったかもと
今は思ったりしている①は(結果としてあそこまで皆が真剣になっていたから
良い学びの体験になった訳だけれども)上記の2)はよかったのだけれども3)合わせに
相当時間がかかった。プロジェクトのWHYやWHATのところで相当時間をかけた分
HOWのフェーズになった際は驚くほどスムーズに行ったけれども
皆の想いや興味分野を重ねたプロジェクトに落ち着くまで皆相当な気力と体力を
消耗した、笑。結果として全員が満足できるものが出来て外部評価も高かったので
良い思い出となったけれども一部の他チームではメンバー関係が険悪になり、
もう口も聞きたくない、グループ課題はやりたくない、と思うまでこじれた
ところもあったらしい。何かをゼロから作り出す、とくにクリエイティビティや
オリジナリティの発揮が求められるグループ課題はtrickyだ、ということを学んだ。

(②の補足)
一方絶対評価ではなく相対評価に晒された②に関してはメンバー内の
目的意識( 上記の3))はなんとなくそろっていたのでそこが問題ではなかった。
そもそも仲良しメンバで構成されたチーム、能力面において相互補完性が比較的低かった。
しかもプレゼン能力が高いはずの2人が準決勝当日に参加できないことが数日前に
判明し、私を含む残り二人(どちらかというとアイディアやデザイン担当の二人)が
pitchを担当しなくてはいけなかったというオチ。(①と②を踏まえ、pitchプレゼンに
少し慣れて来た気がする)

「なんかやってみましょうか」的な意識でそもそも始めたチームであったので
質疑応答の際の「卒業後もこのベンチャーにコミットする意志はありますか」で
十分な説得性を出せなかったところが準決勝敗退の要因の一つだと思う。
(もちろんアイディアの実行に必要な技術的スキルやビジネスモデルの構築が
欠けていたこともあると思う)アイディアは悪くなかったと今でも思っているので
かの有名な「an 'A' team with 'B' idea is better than a 'B' team with 'A' idea」の典型例に
陥ってしまったのだと思う。

また仲良しメンバーであったことで若干の甘えが相互に生まれてしまい、
メンバー間のコミットメントレベルの高低で一時は友情にヒビが入りかけたことも。
4人のうち私以外の3人は最低一度はメンバーの前で涙を見せることになったり・・
(プロジェクト絡みでなくても学業とプライベートとこのベンチャーとの
プレッシャーで涙につながった子もいた)なんともたくさんのドラマがあった2週間で
あった。2月20日の最終決勝(準決勝進出24チームから8チームが選ばれ、決勝では
そこからトップ3が選ばれた)で自分達のチームに何が欠けていたかというのが
見えたのはとても勉強になった。その大半がやはりメンバーの実行力、プロジェクトの
実現性が感じられるかどうかにあったような気がした。

(③の補足)
そんなこんなで①と②で学びを色々と得ていたわけだけれども、
③はようやく提出が終わった段階で、審査結果は1ヶ月後なので
どう評価されるかはしばらく分からない。おそらく結果が出る頃には応募したことも
自分が忘れている可能性がある(学業も既にかなり多忙なので、笑)

ただ10日あまりのプロセスを感じて思ったのは
1) 〜 3)が①や②に比べて総じて高いコンディションにあり、
恵まれたチームであったということ。またEgaku Workshopの大ファンである
自分は心の底からワクワクしながらこの提案書の作成に取り組んでいたということ。
社会のより多くの人にこれを伝えたいと心底思いながら。

4人のメンバーのうち私以外は皆アジアにいて、皆フルタイムで仕事を
持っていた状況下においても臨機応変に対応してくださったり、
適切なフィードバックをタイムリーにくださって、
チームとして共に創りあげているということをずっと感じることができていた。
また時差を味方にする?とはまさにこのことで、同じタイムゾーンで
メンバーが働いているケースの2倍の生産性を発揮することができた気がする。
私が夜中に寝る前に送ったファイルが朝起きると手直しされてメールボックスに
届いているから。





最後に・・・

①〜③全てにおいて自分は自分の得意分野・貢献可能エリアということで
資料作成係をした。これが本当に頭(と手)を使い続ける作業で中毒性の高いもの。
自分はO型で、人にもO型っぽいねと良く言われるくらいのキャラなのだけれども
PPT資料作成においてはなんだか口うるさいこだわりの多いnon-O型人間になってしまう。

チームで議論を重ね、方向性を揃え、スライドのざっくりしたメッセージを
決めるまでが第一ステージ、実際に言葉に落とし+効果的なビジュアルを合わせ
それを元にまたチームで試行錯誤を進めるのが第二ステージ。その後時間が許す限り
永遠の微調整サイクルが続く。第二ステージになるとデザイナーとして自己との闘いに
なることが多い。

人は本来可視化されたものには色々とフィードバックをしやすいように出来ている。
私がプレゼン資料に落とし込み、チームメンバーに共有するということは
他メンバーからの批判や代替提案を「welcome」するということを意味する。
そもそも相当試行錯誤を重ねてversion 1.0を創る訳だから批判や代替提案を
素直に受けいられるようになるまで人間として、デザイナーとして「成長」
することが求められる。そして、チーム全体での方向性を確認してからまた
一人のスライドとの対話・創作活動が続く・・・。そして中毒症状は悪化する。

①〜③で中毒→終了→達成感を繰り返した訳だけれども
そんな道のりで「自分は何かを人に伝えることを一生懸命考えてデザインするのが
好きだな」、そんなことを再確認したりもしました。

「新しく(チームで一体となって)何かを創る」作業、
色々と大変ですが学びも多く、達成感も得られ、オススメです